山本鼎版画大賞展

入賞作品

大賞

A DAY OF THE SKY1 (木版 90cm × 90cm)

田中 恵美

受賞者のコメント

この度は、多くの方々に作品を見ていただく機会を与えていただき、ありがとうございます。
私は、光をテーマに制作をしています。版木に落とされた1つ1つが、彫跡であると同時に、捉えようとしたその瞬間の輝きや呼吸や時間そのもののように思えます。
和紙に刷られた矩形は、ふっくらした柔らかみのある光を内側にはらみ、静かにそこに在ります。
大切にしたいと思うものを見失わず、制作を続けてゆきたいと思っています。

■略歴・所属
1981年 広島出身
2000年 武蔵野美術大学入学
2005年 武蔵野美術大学大学院版画コース在学中
■画 歴(主な出品歴及び受賞歴)
2004年 武蔵野美術大学卒業制作展優秀賞
2005年 第73回版画展版画協会賞

大賞

めがね (スクリーンプリント 64cm × 91cm)

東樋口 徹

受賞者のコメント

 目の前に、真っ白い紙がある。
  そこに、一本、線をひく。
  一本、また一本・・・・・・。
  朧げなイメージに、一歩、また一歩と近付いていく。 見えない糸を手繰り寄せるかのように・・・・・・。 そんな感覚を大切に、制作しています。
  今回、このような賞をいただき、誠にありがとうございます。この受賞を励みにこれからも、よりイメージに近付けるように、作品を作りつづけていきます。

■略歴・所属
2004年3月 東京芸術大学 卒業
現   在 東京芸術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻(版画)在学
■画 歴(主な出品歴及び受賞歴)
2005年4月 第73回日本版画協会展 入選

StaircaseB (リトグラフ 60cm × 85cm)

山本 桂右

受賞者のコメント

 この度は、準大賞を頂き大変ありがとうございました。
  この作品の構想は昨年の秋頃から考えていて、今年の春に制作しました。
  画面の中から出来るだけ無駄な物を除いて少ない要素で表現しようと考え取り組みました。
  黒から自へ至る階調をていねいに描き込んで行く事によって、それまで平らだった画面に空間が生まれ、そこに空気が漂い時間が流れ始める様に感じられる瞬間が、この種の作品を作る時の面白さですが、その感覚を忘れない様にしながら、これからも、いろいろな作品を作って行きたいと思います。
  末筆ですが、この作品を含め、近年の私のリトグラフ作品の制作にいつも御協力頂いている版画工房プレスアヘッドの北畑氏とそのスタッフの方々へ、この場をお借りして、お礼申し上げます。

■略歴・所属
1961年3月 大阪市に生まれる
1986年3月 金沢美術工芸大学大学院修了
現   在 日本版画協会会員
■画 歴(主な出品歴及び受賞歴)
1993年 さっぽろ国際現代版画ビエンナーレ大賞受賞
1998年 現代版画コンクール展優秀賞受賞
     現代日本美術展和歌山県立近代美術館賞受賞
2001年 中華民国国際版画、素描ビエンナーレ銅賞受賞2002年 高知国際版画トリエンナーレ佳作賞受賞
2003年 北京国際版画ビエンナーレ銅賞受賞
2004年 昭和会展優秀賞受賞

サクラクレパス賞

作品-7.16 (木版 56cm × 88cm)

赤塚 美子

受賞者のコメント

  思えば、いろいろな偶然が、私を版画の世界に誘ってくれた。版画を通しての、いろいろな出会いは、過去のものだったり、現在のものであったり、過去の人だったり、現在の人であったりするのだけれど、はてしない感動を、私に与え続けてくれている。それらは、私に制作する勇気を与えてくれている。感謝!!

■略歴・所属
春陽会 版画部会友
日本美術家連盟会員 等
■画 歴(主な出品歴及び受賞歴)
2004年 春陽展 奨励賞
     信濃毎日新聞社「歌壇・俳壇」挿絵(6ケ月)
2005年 東京国際ミニプリントトリエンナーレ等

佳賞

SWIMMING POOL2 (木版 60cm × 90cm)

河本 雪野

受賞者のコメント

 スウィミング・プール。同じタイトルの映画を、この間観た。CDジャケットの撮影にも使われていた。
水に入っている時には、音楽がかかっていたり、しぶきの音も聞いたりしたが、作品に関わっている間はまったく静かだった。
泳ぐことについては、0歳のスウィミングスクールの写真から、中高の水泳部、最近の区民プール、海のことまで記憶は様々。
今回、この様に賞をいただき有難いです。
みなさま、これからも宜しくお願いいたします。

■略歴・所属
2005年4月 東京芸術大学大学院版画研究室 入学

トイカメラ(風景と感情-1)(リトグラフ シルクスクリーン 50cm × 74cm)

松田 修

受賞者のコメント

 先ず、第二回の受賞から二年の月日が流れ、また受賞させて戴いたことに感謝申し上げます。
  前回の受賞式の帰り(都内より冷え、澄んだ空気を思い出す)師匠である版画家の紹介で長野のある画廊に寄った。画廊主は不在であったが、後日連絡をもらい、大きな美術展に何度か出展させていただいた。
  毎年、画廊主は育てた野菜を私達に送り、今も活動と共にお世話になっている。
  そんな事もあり信州の土地と人々にとても感謝している。
  その二年間、勤めていた大学の非常勤の仕事と平行し、作品制作を行ってきたが、幸せな環境でありながら、仕事の忙しさも感じつつ、思考の整理がつかぬまま毎日制作していたように思う。
  現在、版画を制作する環境がない実家ですごしている。自宅にも銅版画プレス機は置かないことに決めた。理由は単純で、銅版画のプレス機は非常に重い。また、それがないと制作ができないということに足枷があるようにも感じていたからだ。知人に工房を使ってくださいと言われたが、6月の個展以来、版画制作は行っていない。
  絵画を一時離れ、版画を集中して行ってきた。今後、版画の経験が何かに結びつけばと思う。
曖昧な記憶の断片が繋がりはじ版画を制作しようと思っている。

■略歴・所属
1972年11月 埼玉県生まれ
2001年3月 東京芸術大学大学院美術研究科絵画科修士課程版画専攻修了
2001年4月 同大学版画専攻第一研究室非常勤助手(2005年3月まで)
■画 歴(主な出品歴及び受賞歴)
2002年  第2回山本鼎版画大賞展(準大賞)
2003年  第8国NICAF出展(東京国際フォーラム)
2004年  KIAF出展(韓国/ソウル)
2005年  東京アートフェア出展(東京国際フォーラム)

其十 (シルクスクリーン 90cm × 90cm)

東城信之介

受賞者のコメント

 この度は、佳賞を頂きありがとうございます。電話で受賞の連絡を受けた時は、一瞬聞き直してしまいました。何の電話なんだろうと一生懸命理解しようとしている最中に「おめでとうございます」の、一言で、鮮明ではありませんでしたが、視野が開けたものです。
 この表現を始めてから数年、様々な評価を受け、考え続けた日々を思い出します。「十」というモノに、考えこだわり造ってきました。その作品が、このような形で皆様の目に触れ、評価されることに、深く喜びを感じています。又、自分がやってきたことが、少しでも間違っていなかったと感じ、自信につながりました。これからも造ることに逆らわず、己を形にしていければ幸いだと思います。

■略歴・所属
1978年 長野県生まれ
2004年 東京造形大学美術学科比較造形卒業
2005年 東京造形大学研究生修了
■画 歴(主な出品歴及び受賞歴)

image file 050111 (水性木板 92cm × 74cm)

瀧 将仁

受賞者のコメント

 メディアが発達し多様化する現代において、木版画のメディアとしての役割は山本鼎の生きた時代とは大きく変化しているのかもしれません。しかし、自らがその時代を生き、その時代のリアルを版に刻むその気持ちは今も変わらないと信じています。
この度は、このような賞を頂き、上田市、実行委員会及び審査員の方々、これまで自分を支えて頂いた方々に心より感謝を申し上げます。

■略歴・所属
1978年 静岡県静岡市(旧清水市)に生まれる。
2002年 東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻卒業
2004年 東京芸術大学大学院美術研究科修了
2005年 東京芸術大学美術研室在籍 
■画 歴(主な出品歴及び受賞歴)
2002年  東京芸術大学 0氏記念賞
第72回日本版画協会展 奨励賞
2003年  第28回大学版画展 買い上げ賞

予兆のドローイング (銅板・ドローイング 70cm × 70cm)

前野 智彦

受賞者のコメント

 作家の作為的作意である「吉事の兆一浮遊するシニフィアンー」を、個人に作用した吉事の兆しそれ自身の露呈段階一第一の契機から第二の契機へと移行する門を示唆する、作家の意図的な留白−として夢想する。それは、個人が個人として、その段階において、他者とは共有しえないという状態の夢を見る事−ドローイングーであり、「反復」(再び創造・関する日常)の夢を見る事−ドローイングーへと続く。
想像力が持つ位相、祭儀や神話の深層に内在する「民族の想像力と不可分な、共同体構成の強力な促進剤としての想像力」から遠く離れ、隔絶しえた個人に
作用する「想像力」より発し、「民族の想像力」とは違う仕方で、「反復」一再創造し・再想像し・再開−する為の装置。
(制作ノート一断片−)
最後になりましたが、審査員の方々、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。

■略歴・所属
1977年 広島生まれ
2002年 多摩美術大学絵画科版画専攻卒業
2004年 同大学大学院美術研究科絵画専攻修了
現 在 同大学絵画科版画研究室 副手
■画 歴(主な出品歴及び受賞歴)
2000年 広島の美術(広島現代美術館)
2001年 東京ワンダーウォール賞(東京現代美術館)東京ワンダーウォール賞受賞
2002年 東京都庁舎回廊にて個展(新宿)
2002年 全国大学版画展(町田国際版画美術館) 
     買い上げ賞受賞
2004年 三田健志との共同プロジェクト
     壁画制作(横浜労災病院) 
2005年 ギャラリー椿2にて個展(銀座)