文化財の詳細情報

常楽寺本堂

この本堂は、寄棟造〔よせむねづくり〕、茅葺〔かやぶき〕の建築で、正面中央に唐破風の向拝を付けています。間取りは、前側に細長く広縁をとり、中央に外陣〔げじん〕・内陣〔ないじん〕があり、その両脇に部屋を配置する構成で、内陣の左脇の間が「上段の間」となっています。この間取りは、当初からのもので、ほとんど改造されていません。また、間口が10間〔けん〕(約18m)あり、県内の江戸中期後半の天台真言系本堂として屈指の規模をもっています。

寺の「分限帳」によれば、客殿(本堂)・本尊・庫裡〔くり〕の建立は四十六世翁玄の代(1710 - 38年在住)で、本尊の妙観察智阿弥陀如来坐像には享保十七年(1732)の墨書があり、本堂の再建も本尊入仏と同じ享保十七年頃であったと考えられます。建物の様式をみても、虹梁〔こうりょう〕の絵様〔えよう〕・組物〔くみもの〕・欄間〔らんま〕などのように17世紀後期の比較的古い様式を示す部分と、柱が一間ごとに立ないという18世紀中期以降の特色が混在しており、享保末期 - 元文期(1730年代)の建築と考えられます。

大工に関する資料はありませんが、享保六年に再建された北向観音堂、享保十三年の安楽寺山門、寛延三年(1750)の塩野神社本殿など、上田房山の末野〔すえの〕氏がこの時期に塩田平で活躍しており、絵様などがそれらの建築と類似しているので、常楽寺本堂も末野氏の造営によるものと考えられます(*)。ただし、軒唐破風の向拝部分は、様式が本堂と若干異なっており、四十八世良然の代(1770 - 85年)に付け加えられたとみられます。

本堂の意匠は彫刻的な要素が少なめですが、これは江戸中期に属する本堂の特色で、常楽寺本堂は全体として江戸中期後半の特色をよく示した貴重な建築といえます。


内陣


境内


外陣


向拝の飾り


虹梁の絵様


本堂平面図

市指定 建造物
平成9.4.9
所在地
別所温泉2347
所有者
常楽寺
享保末期〜元文期

パノラマムービー

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