唐沢B遺跡は縄文時代草創期の遺跡で、石斧や石槍、砥石など石器32点が出土した。
出土品には神子柴型石斧〔みこしばがたせきふ〕とよばれる大型の石斧が多数含まれている。同じ石器が上伊那郡南箕輪村神子柴遺跡で最初に発見されたことからこの名がつけられており、刃先をきれいに磨いたものがあるのが特徴とされている。唐沢B遺跡の石斧には使用痕(刃こぼれなどの傷)が認められず、石器の材料には、群馬・新潟県境や、遠く山形県で産出する石も使われており、石器が交換という手段で遠方まで運ばれるシステムが15,000年も前にすでに存在していたことを示すものと考えられる。
全国的にも、神子柴遺跡出土品とともに神子柴石器文化を代表する石器群の好資料として評価が高い。