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下塩尻石造五輪塔[2基]

種別 :市指定 石造物
指定日:昭和43.4.25
所在地:下塩尻392-5
年代 :鎌倉時代末期

解説

塩尻の新屋から中島に通ずる道路ぞいに、大型の五輪塔が二つ、目通り幹囲2mほどの榎〔えのき〕の根元に建っています。

総高は178cmと166cmで上田市内では舞田の「金王〔こんのう〕五輪塔」に次ぐ大きなものです。

二つの五輪塔は、ほぼ同じ造りをしています。台石にあたる地輪の背は横幅より小さく、球形の水輪は上下を切りわずか押しつぶす形をとり、曲線を美しく見せています。水輪の四面には円を刻み、その中に「バン」という大きな梵字〔ぼんじ〕が薬研彫〔やげんぼり〕(V字型に彫りこむ法)で力強い調子で彫られています。火輪についても適度な高さを保ち、勾配もゆるく、隅棟の反〔そ〕りもわずかですが、軒は厚く両端はやや内斜めに切りこむなど、水輪とともに重厚さを示しています。

火輪の上に乗せる風輪と空輪は一石の造りとなっていますが、ともに形がよく整〔ととの〕い、塔全体の安定感を保っています。

この二つの五輪塔についての来歴や伝承などは、今のところ不明ですが、余程力のある豪族がこの地にいて、建立に関与〔かんよ〕していたと考えられます。

建立年代は、全体の形や各部の手法や特徴からみて鎌倉時代中期の作と推定されています。