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中禅寺石造五輪塔

種別 :市指定 石造物
指定日:昭和48.4.9
所在地:前山1721
年代 :鎌倉時代

解説

木造建築物としては中部日本で、一番古いといわれている中禅寺薬師堂(鎌倉時代初期のものといわれている)の裏手に、この五輪塔が建っています。

総高が155cm余りで、大きさでは下塩尻五輪塔に次いで上田市内では第三番目となっています。

各部(地輪・水輪・火輪・風空輪)の高さは、全体の高さに対しそれぞれ調和がとれており、重厚で立派な五輪塔といえます。

この五輪塔の特徴は、水輪〔すいりん〕(球形をしている部分)が大きいことです。直径が地輪〔ちりん〕や火輪〔かりん〕の横幅よりも少し大きく見えます。

また、四方には円を刻んだ中に、大日如来〔だいにちにょらい〕という仏様を表わす梵字〔ぼんじ〕「バン」という字が薬研彫〔やげんぼり〕で力強い書体で彫られています。

火輪の形も見事で、軒も厚く両端に向ってゆるく反〔そ〕りあがり古い様式を示しています。

火輪の上にのせる風輪・空輪は一石で造られていますが、ともにおおらかな曲線を見せています。

この五輪塔の建立年代や由緒〔ゆいしょ〕については、今のところ不明ですが、各部の造りの手法や特徴などから、鎌倉時代に造られたものと推定されています。

これほど見事な五輪塔ですので、中禅寺に関係した人物かまたは、塩田北条氏に関係した人物か、いずれにしても有力者のために建てたものと思われます。