諏訪形の「荒神宮」本殿の右後方中庭の静かな植え込みの中に、50cmほど盛土した上に形の整った五輪塔が一基安置されています。総高112cm、上田・小県地方に分布している五輪塔のうちでは、中程度の大きさです。
一番下の地輪の上面を皿状〔さらじょう〕にへこまして、その上にのる水輪を安定させていますが、この水輪はややおしつぶした形になっています。
火輪(笠)の背は低くゆるやかな降〔くだ〕り棟〔むね〕となっており、軒口は中心から左右へゆるやかに反〔そ〕りあがり、力強く厚手につくられています。
この五輪塔についての来歴や言い伝えなどは、今のところ不明ですが、全体の形や釣り合い、古い様式等の特徴からみて鎌倉時代の作と推定されています。あるいは荒神宮に伝えられる木曽義仲や巴御前〔ともえごぜん〕とかかわりがあるのかも知れません。
石の質は地・水・火輪の三つは同質で、太郎山・独鈷山などに見られる石であり風空輪は烏帽子岳〔えぼしだけ〕等から産出する石です。