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信濃国分寺石造多宝塔

種別 :市指定 石造物
指定日:昭和46.4.8
所在地:国分1051・1052
年代 :鎌倉時代

解説

信濃国分寺石造多宝塔は、重要文化財の三重塔西側にあります。多宝塔は、高さ152cmで、積み石段の上にのっています。

この多宝塔を見ると、初層の屋根や塔身の一部に窪〔くぼ〕みの跡〔あと〕がいたるところにあります。これは、むかし堅〔かた〕い石でたたいて粉にして飲〔の〕むと病気がなおるとか、またお守〔まも〕りにするとよい、という信仰から民衆がここから石の粉をとったものでしょう。

横からみて正方形に近い塔身には両開きの扉が線彫〔せんぼり〕され、また下層の屋根には亀腹〔かめばら〕を刻み出し、その上部に勾欄〔こうらん〕付の首都〔しゅぶ〕があります。

屋根の降〔くだ〕り棟〔むね〕の反〔そ〕りも、軒反りもわずかで古い様式です。軒先の切口も垂直にし、軒裏には一段の垂木〔たるき〕を刻み出しています。相輪〔そうりん〕が欠けていることが惜しまれます。

この多宝塔について、由来〔ゆらい〕や言い伝えが今のところ不明のため、いつごろのものかは断定できませんが、各部の様式、手法などから鎌倉時代の造立と推定されます。

年代的には常楽寺(別所温泉)にある多宝塔に次ぐものとみられ、全国的にも石造による多宝塔は数少ないのに、上田市には二つの多宝塔が現存していることは大変珍しく貴重なことです。