赤坂塚穴古墳全景(南側より)
塚穴古墳は、烏帽子山麓の西斜面に造られた古墳時代後期の横穴式石室をもつ円墳です。この古墳の眼下には赤坂集落があり、さらには上田市街や塩田平を一望できる位置にあります。
塚穴古墳内部奥壁(右側)と側壁(左側)
墳丘の東南部は周辺の水田耕作の際に大きく削られてしまいましたが、北西部は比較的良く残っています。
南北径7.5m、東西径7.0m、高さ2.8mの古墳で、内部の石室は早い時期に開けられておりますが、出土品については全くわかりません。
内部の石室の造り方は、奥壁を大きな平石二枚立てて重ね、側壁は基部に平石を立て、その上部は平石の小口積みとしたものです。また、遺体を安置した玄室〔げんしつ〕の天井には大きな平石を二枚のせ、さらに羨道〔せんどう〕部の天井に一枚使っています。
この塚穴古墳は、上田地域では比較的標高の高い場所に位置する点や墳丘や石室の造り方などに特徴がみられる古墳です。墳丘はかなり破壊され小規模となってしまいましたが、石室も小さいながら比較的よく残っており、上田地方の代表的古墳のひとつとして貴重です。
塚穴古墳石室実測図(『上田小県誌』考古篇より)