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塚穴原第一号古墳(下之郷)

種別 :市指定 史跡(古墳)
指定日:昭和53.4.8
所在地:下之郷812-54
年代 :6世紀後半

解説


塚穴原第一号古墳全景



発掘調査状況

下之郷の「いにしえの丘古代公園」にある他田塚古墳から東に50mほどの場所に、塚穴原第一号古墳があります。この古墳は直径が20.5mから21.5m、高さは3.3mあり、上の写真のように堂々とした巨大な古墳で、見る者は圧倒されます。古墳の墳丘には四段に葺石〔ふきいし〕が施〔ほどこ〕され、周囲には溝〔みぞ〕をめぐらしたこの地方では最大級の古墳です。

内部には全長7.2mに及ぶ奥行きの深い石室があります。また天井や壁〔かべ〕には幅が1mを超える大きな石が何枚も使用されています。(塚穴原第一号古墳の石室実測図参照)


出土した直刀

昭和50年に発掘調査が行われました。その結果、石室〔せきしつ〕内からは五体以上と見られる人骨が発見され、この地方の有力豪族とその家族が埋葬されたとみられています。この他にみごとな装身具〔そうしんぐ〕・馬具〔ばぐ〕・武器・土器なども出土しました。装身具は耳に付けた耳環〔じかん〕や、ガラス小玉・丸玉・臼〔うす〕玉が出土しました。また馬具は極〔きわ〕めて貴重な、鉄地〔てつじ〕に金銅張〔こんどうば〕りを施した鞍〔くら〕の一部が出土しています。また馬の口に含〔ふく〕ませていた鉄製の轡〔くつわ〕金具が見つかりました。この金具に手綱〔たづな〕を付けて、当時の人々は馬をたくみに走らせていました。

武器は反〔そ〕りのない刀である直刀〔ちょくとう〕が13本、小さい刀である刀子〔とうす〕が5本、鉄製の矢じり(鉄鏃〔てつぞく〕)が13本出土しています。



出土した須恵器

土器は土師器〔はじき〕とよばれる赤褐色〔せきかっしょく〕をした素焼きの土器と須恵器〔すえき〕(写真左)とよばれるロクロを用いて窯〔かま〕で焼き上げた青灰〔せいかい〕色の土器が出土しています。土師器は坏〔つき〕とよばれる碗〔わん〕状の食器や、坏に脚がついた高坏〔たかつき〕や甕〔かめ〕などです。また須恵器〔すえき〕は坏や高坏・壺〔つぼ〕・甕などや平瓶〔へいへい〕とよばれる平たい胴部に口の部分を付けた珍しい須恵器が出土しています。これらの須恵器はたくさんの種類があって、数が多いので、貴重な資料とされています。

この塚穴原第一号古墳は、出土した遺物や墳丘の形から6世紀後半に築〔きず〕かれた古墳とみられています。この古墳は塩田平では最大の円墳であり、他田塚古墳とともに、下之郷古墳群の中心的な古墳です。

当上田地方における有力な豪族の墓であり、この地方の古代史を解明する上で重要な古墳といえます。



塚穴原第一号古墳石室実測図