岡城跡 外堀北東側の堀跡(水田となっている)
岡城跡 航空写真(平成十年)
岡城跡は浦野川の断崖〔だんがい〕を利用して築かれた平城〔ひらじろ〕(平地に築かれた城)です。上田城より20年余早く造られた平城で、城域が広く元の形を最もよくとどめている、当地方の平城として貴重な城跡です。
本郭〔ほんくるわ〕と二の郭があって、両郭とも土塁〔どるい〕の一部が残り、南側を除く三方に、内堀〔うちぼり〕と外堀〔そとぼり〕を二重にめぐらした城です。
岡城跡周辺図 現状 - 平成9年 -
大手〔おおて〕は北側中央ですが、3箇所の虎口〔こぐち〕(城の出入口)の外側には丸馬出しと三日月堀〔みかづきぼり〕がそれぞれ設〔もう〕けられていた、甲州兵学〔こうしゅうへいがく〕(武田流)による縄張〔なわばり〕(郭や堀などの配置)の城として、大変有名です。
築城年代ははっきりしませんが、天文二十二年(1553)八月、武田信玄が塩田城(上田市東前山)を攻め落としたあと、室賀〔むろが〕峠越えに北信濃方面への進攻のための大事な拠点として、岡村氏の館跡〔やかたあと〕だったものを再築したものと考えられています。
宅地造成や農地の埋めたてのため、貴重な城跡の原型〔げんけい〕が数か所にわたってやむを得ず失われたのは、残念なことです。