春の日ざしに輝く科野大宮社の
社業写真中央のケヤキがいち
ばん太く、目通り幹囲6.53m、
樹高27m(平成7.4.26撮影)
科野大宮社は、信濃国府の総社〔そうじゃ〕であったという人もいるくらい歴史の古いお宮です。お宮の前にさしかかると、拝殿前にどっしりと立つ三本の太いケヤキが目に留まります。また、境内のイチョウ・ケヤキの大木も目を引きます。思わず触〔ふ〕れてみたくなったり、太さを測ってみたくなります。これらの大木とともに本殿のまわりに立つスギ・その他の木々によってここの社叢(お宮の森)は成り立っています。
社叢としては木の種類や本数が少なめですが、ケヤキ・クヌギ・イチョウの大木の茂みが境内を覆〔おお〕いつくして樹木量の少なさを補っています。にぎやかな街中〔まちなか〕にありながら、ここがたいへん静かで厳かなのは、それらの大木に負〔お〕うところが大きく、社叢の芽吹き・緑陰・紅葉と落ち葉・木もれ日を求めて訪れる人も少なくありません。
拝殿の裏に柵〔さく〕で囲って保護している「ご神木のケヤキ」は、元禄〔げんろく〕年代(江戸時代の初期、1690年ごろ)に枯れたものです。目通り幹囲約12m。朝は常田川原に、夕は国分寺に樹形が達したと伝えられる大木だったもので、当時の社叢をしのぶ手がかりとなっています。
街なかの貴重な社叢として大事に保護していきたいものです。