天神宮のケヤキ(西側の株)
(平成9.3.26撮影)
岩下の集落の中ほどに、お宮(天神宮)を覆〔おお〕うケヤキの大木があります。これが「天神宮のケヤキ」で、長野県の巨木ベスト・テン(1989年環境庁調べ、目通り幹囲で比較)の第五位にあたる(ケヤキだけでみると第二位にあたる)大木です。
木は東西に約6m離れて二株あります。西側の株が特に太く、その目通り幹囲13.5m、樹高約15m、枝張りは四方へ約15mあり、りっぱです。東側の株はもともとは三本立ちで、うち二本は枯れ株となって根元だけが残っています。育っている株は目通り幹囲9.7m、樹高約15m、枝張り5 - 8m。東西の両株とも落雷のあったことを物語る大きなうろ(空洞)と焼け跡がありますが、焼け残ったところの樹皮がよく育って今のような大木になりました。見るからにケヤキのたくましい生命力を感じさせます。(落雷や焼けたのがいつのことか不明です)
国道18号線から見た枝ぶり(平成9.3.26撮影)
この木に落ちた雷を村人〔びと〕が捕〔つか〕まえたところ、「これからは岩下へは絶対に落ちない。」と約束したので天へ帰してやったという言い伝えがあります。木の幹には爪〔つめ〕でひっかいたようなささくれがあり、それが「雷さんがあわてふためいて天へ上がったときの爪跡〔つめあと〕だ。」とか、木の中ほどにある大きなこぶは「あれは雷さんのおへそだ。」と、村人は言っています。木の太さからみて、市内で生育しているケヤキの中では最も古い木と思われ、「大六のケヤキ」とともに上田市の誇る大木です。