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紙本墨書着色「天保の信濃国絵図」(博物館)

種別 :市指定 古文書
指定日:昭和58・4・8
所在地:上田市立博物館

解説

天保〔てんぽ〕の国絵図は、江戸時代に三度にわたって幕府〔ばくふ〕の命令により行われた日本全国の国絵図作成事業の最後のものです。元禄〔げんろく〕の国絵図(前頁参照)の改正絵図として作成され、天保9年(1838)に完成しました。


信濃国〔しなののくに〕絵図については、松代藩〔まつしろはん〕(真田〔さなだ〕氏)・松本藩(戸田〔とだ〕氏).上田藩(松平〔まつだいら〕氏)の三藩が分担してその調整にあたり、上田藩は佐久・小県・諏訪の三郡を担当しました。そのため、この地域について元禄の絵図以後に変化のあった事がらを記した「変地〔へんち〕帳」等の関係書類も、いっしょに伝えられています。


このとき各国々からは、元禄の国絵図の写しを短冊形〔たんざくがた〕に切り、その後変化した部分に紙を貼〔は〕って修正した図が幕府に提出されました。この「天保の信濃国絵図」はその控えで、東西に細長く切った「切絵図〔きりえず〕」として、縦55cm、横450cmの十五巻の巻物〔まきもの〕に仕立てられ ています。縮尺は正保〔しょうほう〕の国絵図と同じで、一里〔いちり〕を六寸〔すん〕(約20cm)とする21,600分の1となっています。


なお、幕府では提出された切絵図をもとに、正保や元禄のときと同じような一枚の大きな絵図に仕立てています。この時の全国の国絵図は、国立公文書館にそっくり残されています。