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上田藩村明細帳(横関家)

種別 :市指定 古文書
指定日:昭和61・6・5
所在地:上田市立博物館

解説

現在の上田市を中心とする地域の大部分の村々の、今から三百年近くも昔の様子を詳しく知ることができる貴重な資料です。


宝永〔ほうえい〕三年(1706)、上田藩主は仙石〔せんごく〕氏から松平〔まつだいら〕氏へと交代しました。このとき藩の命令で、領内の全村から現在の村勢要覧にあたる帳面が提出されました。一村一冊ずつ計八六冊で「宝永差出〔さしだし〕帳」とも呼ばれています。これはその内の七四冊分です。寛政三年(1791)に藩の役人が書き写したもので、原本〔げんぽん〕は伝わっていません。


内容は種々の年貢〔ねんぐ〕、用水、橋、家の数、人口、馬の数、職人、寺社、稲の種類、その他の農作物〔さくもっ〕、薪〔たきぎ〕取り場などです。また、貼〔は〕られている付箋〔ふせん〕により、宝永三年から約三十年後の戸数や人口の変化について、知ることができる村もあります。


なお、不足分についても、ほとんどの写しが見つかっていますが、このように江戸時代前半という古い時期の一つの藩領全体の詳細な状況が分かる資料は、全国的にも例がありません。


そこで、東京大学史料編纂所では『大日本近世史料』の最初の刊行物として、この「上田藩村明細帳」を取り上げ、三冊にまとめて出版しています。そのため、当地方だけでなく、広く全国で利用される重要資料となっています。