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男石神社絵馬(赤坂)

種別 :市指定 有形民俗文化財
指定日:昭和58・4・8
所在地:赤坂

解説

滝の宮にある男石神社には、数多くの男根(男性器)の絵馬が奉納されていたことに驚かされます。その大部分は近世後半から明治時代のもので、子種を持つ男根が多産と繁栄につながる信仰を基に、縁結び・子授け・子孫繁栄・五穀豊穣などの祈願と、願いが叶〔かな〕ったお礼の印に納められたものです。

それらのうち、写真のような絵馬七一点が、赤坂公民館に移され、別に保管されています。


昔大きな屋敷を構え隣村に住んでいた長者が、山で大きな石を転げ落として男石の先を傷つけたので、その欠け口から濁水が三日三晩流出しました。

長者は神罰を恐れて堂を建て、自分も住居をそばに移して朝夕のつとめをしましたが、その血縁は絶えてしまったと伝えられています。

巨大な男石も頭部を失ってから近所の婦人に悪さをして、男石荒神といわれ恐れられましたが、その後、隣に女石を祀ってから悪戯〔いたずら〕はピッタリ止んだといいます。たまに花嫁行列が前を通ると、怪我〔けが〕をしたり離縁になることが多かったともいわれ、ここを避けて通りました。

このような男根の持つ不思議な力によって、生活を妨〔さまた〕げる不幸や災難から救ってもらうよう真剣に祈りを込めました。


当時のムラ人たちの飾り気のないありのままの信仰の姿がそのまま受け取れて、人間生活の根幹をなしている古い生産に対する、神頼みの習俗を知る上で大切な資料です。また、明治に入って、風俗を害するものの棄却〔ききゃく〕の布告をさけて残っている、数少ない珍しい文化財といえましょう。