生島足島神社では、夏の疫病退散を祈る祇園祭の行事として、七月第四日曜日に獅子舞を演じます。区の公会堂で一〔ひと〕踊りして出発し、露払(2)・笹持(2)・区長(1)・導祖(1)・三頭獅子(3)・締太鼓(2)・笛(4―5)・警固(指南役含め10前後)の行列を組んで神社に進みます。神主のお祓いを受けてから舞殿〔まいどの〕に上り、まず上社(生島足島神)へ演舞を奉納し、次に向きを変えて下社(諏訪神)へ同様に繰り返します。
周りの同系の伝承地にみられるような、雄獅子が雌獅子をうばい合う所作は目立ちません。全体に格調が高く、特に揃った笛のリズムが大切と言われます。獅子は手替りなしで屈伸の激しい演舞は、大変きついものです。
ここでは「導祖〔どうそ〕」と呼んで、大団扇の代りに鉾を持つ獅子あやし役の天狗や、「青大将」と呼ぶ竜型をした青色の角二本を立て、金歯の口を開いた獅子面の二つに特徴があります。塩田・川西地区の三頭獅子には、花笠をかぶった子どもの「ささら踊り」がつく所が大方の中で、下之郷にはそれがないこと、したがって演舞の中の唄がきわめて少ないことなどの特色をみせています。
古くは元禄四年(1691)来光寺〔らいこうじ〕池の土手を築く工事の地固めに出場した記録もあり、「御歳代〔みとしろ〕田(神社に付属する田)の田植祭」に苗を運ぶ村人の脇で、田を這〔は〕う恰好で踊り、「田の草獅子」ともいわれました。
昭和四十年代後半から毎年必ず踊られています。
手替りなしで激しい演舞を続ける三頭獅子