塩田平の文化と歴史

●解説 別所温泉


 塩田平を囲む山なみの西方にそびえる夫神(おがみ)岳のふもとに、この地方の古い歴史とともに、絶えまなく湧き続けて来たのが別所の温泉である。この自然の出湯と人とのかかわりは、夫神岳の麓から古代の布目瓦が多数発掘されたことによっても、その古さが想像される。
 国造や国府の所在していた古代から、庶民の安息療養の場所であり、また温泉の効能と医薬信仰が、やがて仏教の霊場としての北向観音堂となったであろう。
 別所の温泉は昔から”七久里(ななくり)の湯”と呼ばれたといわれ、平安時代の有名な和歌集にもその名をとどめている。
 鎌倉時代には北条氏の居館塩田城にも近いので北条一族の好んで来湯することも多かったと想像される。国宝八角三重塔のある名刹安楽禅寺は北条氏の開基によるところから、別所という地名は北条氏の別荘の意であるとも言われている。
 江戸藩政時代には、温泉は上田藩主所有の時もあった。数ケ所の湧出口のうち、石湯・大師湯・大湯など、昔から由緒のある名湯は共同浴場として今も土地の人人に親しまれている。

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