塩田平の文化と歴史

●研究者のために ”夢殿観音”銅造菩薩立像


品  質 銅造、蓮肉一部本躰と共吹。
形状構造

法 量

鋳造の技法は、古例はほとんどその凡てが蝋型を用いるもので、先づ粘土を用いて大略の形を作り、この表面に蝋の薄い層を盛って、その表面に像容を彫刻し、これを注意深く粘土で包む。内部の粘土形が中型、外から蝋を包むものが外型である。この中型と外型とを適当な箇所に型持ちの支柱を打って固定し、多くの像底に設けた湯口から溶銅を注ぐと、この溶銅が間にある蝋の層を溶解しながら、蝋の部分に隙間なく行きわたり、鋳造が完成する。この上で外型の粘土(こまかい砂混りの比較的さくいものを用いる)を取り去って、細部を鏨を用いてさらい、刻んで仕上を行うわけである。つまり、鋳造された像の厚みは、すなわち蝋の厚みであって、鋳造後は、内部の中型となった粘土は、出来るだけこれを取り去るのが例である。この中型には、大作はもちろん、小像においても、中型を支える支柱として鉄心を立て、鋳造後にこれを粘土もろ共に除去するのが通例であるが、これが像容によって困難な際には、半にて切るか、粘土を除去した像内の空洞内にぶらさがる形となっているものもある。(薬師寺脇侍例)
 丸吹の場合には、もちろん中型の粘土の必要がなく、像型の全てを蝋で製作し、これを外型を以って包むのみであるが、蝋がはなはだ貴重であったために、小像でも多く丸吹とせず、中型を設けたもののようである。
 鋳造が完成すると、これに鍍金を加え、更に表面に彩色を施す。四十八躰仏中にも、鍍金が厚手に美しく残り、又彩色を認め得るものが現存している。

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