塩田平の文化と歴史

●口絵 生島足島(いくしまたるしま)神社


 塩田平の東端、大字下之郷にある生島足島神社は、長野県では最も古い由緒をもつ神社の一つである。戦前、神社には社格というものがあったが、県下でこの社格の最も高かったのは、諏訪の諏訪神社(上・下社)で「官幣大社」、その次はこの生島足島神社で「国幣中社」という格式をもっていた。
 今から約一千年前に、勅命によって編纂された『延喜式』という書物にも、この神社は諏訪神社などと並んで「大社」と記されている。当時は「大社」といわれるのは、国家の信仰がとくに厚かったことを示しているのだから、この神社の歴史は、きわめて古く、そして大切な意味をもっていることがうかがわれる。
 いったい”生島足島”という名前が、ちょっとかわっているがどういうわけだろう。それはこの神社の祭神が、生島神・足島神(いくしまがみ・たるしまがみ)という二柱の神様であるからだ。この二柱の神様は、八幡様とか天神様とかいうような一般的に祭られている神様ではない。実は日本の国土を生成した神様として、朝廷(今は宮城)にお祭りしてある23座の神のうちの2座なのである。
 どうしてそのような神様が、この地に鎮座していられるのかというと−
 今から千何百年かの昔、日本の国が出来はじめたころ、信濃の国も中央の大和政権の勢力の下に入った。その時、信濃の国をおさめるようにと、中央から命令された人を「信濃国造」という。その信濃国造が朝廷にお祭りしてあるこの神様を、わざわざこの土地にお迎えしてきて自分の居所に祭った。それがこの生島足島神社だと考証されている。
 そうするとこのお宮は大昔は、信濃国造(今でいえば県知事)のいたところということになる。容易ならざるお宮といわねばならない。
 そういえば、写真でみるように、このお宮は周囲に池をめぐらし、その中の島のようなところに建てられている。いわゆる「池心の宮」で、きわめて古い宮殿のあり方とされる。
 また、このお宮の東方にある東山には、昔はたくさんの古墳(群集墳)があったが、今も残っている最も大きい塚に、「他田(おさだ)塚」という名がつけられている。「他田」というのは、古代の信濃国造になった人の名字である。
 戦前、国家は莫大な費用を投じて、現在見るような荘厳華麗な社殿を修築した。それはこの神社の歴史的意義を高く評価した結果であることはいうまでもない。
 池の面に映える森の緑と、社殿の朱色は、この社の深い由緒を無言のうちに物語っているようにも思える。(なおこの神社と諏訪神とは、深い関係にあることも有名だが、解説を参照してほしい)。

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