山城から平城へ
これらの多くは山城といい、山の頂上や尾根に築かれた
砦
【
とりで
】
であった。ふだんはその山麓の屋敷に住んでおり、敵襲の時に立てこもるための城塞だったのである。戦国時代までの中世の城は、こういうものが普通であった。
ところが、国内統一の進んだ安土桃山時代から江戸時代初期にかけて、城郭は大きな発達をとげる。多数の兵士の常駐する軍事基地として、城下町を合わせたものとして整備されるようになる。山城はすたれ、領内統治に都合の良い平野の中央に、
平城
【
ひらじろ
】
または
平山城
【
ひらやまじろ
】
が大規模に築かれるようになったのである。織田信長の安土城は天正4年(1576)、豊臣秀吉の大坂城は同11年に築かれている。