天正13年(1585)9月5日 矢沢綱頼宛上杉景勝書状
 上田城で真田昌幸が徳川軍と対陣していた9月、北条氏直は沼田城を攻略しようとしていた。そのおりの上杉景勝より、沼田城代矢沢綱頼への書状である。直江は景勝の重臣直江兼続。
 景勝は弁丸(幸村)に付き添って、越後におもむいていた綱頼の子、三十郎頼幸の活躍を喜んでいるが、間もなく沼田城守備のため、頼幸を帰している。


長野市松代
矢沢頼忠氏蔵
直江(兼続)に対し書面の趣披見。よって当表の備日を逐ふて素意に任すの条、心安かるべく候。次に息三十郎(頼幸)參陣、別して走廻り候の間、喜悦に候。申すに及ばずと雖も、帰馬の内、其の元いよいよ堅固の用心専一に候。謹言。
 九月五日 景勝(上杉) (花押)
  矢澤薩摩守(綱頼)殿