山本鼎版画大賞展

第4回山本鼎版画大賞展

入賞作品

大賞

十畳間 (銅版・シルクスクリーン 107cm × 79cm)

八木 文子

受賞者のコメント

この度は、大賞をいただき誠に光栄です。
私はよく人を描きますが、ひとの形を描いてはいません。
本来的な形を描きたいのです。
私は誰か、その物は何か、を見るために、見えないものを見たいという欲求です。
この受賞を励みにこれからも精進して参りたいと思っております。
上田市実行委員の方々、審査委員の先生方、私を支えてくださる多くの方々にこの場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。

■略歴・所属
1968年 東京都生まれ
1994年 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了
現在  山形大学准教授

■画歴(主な出品歴及び受賞歴)
1993年 第2回さっぽろ国際ビエンナーレ展スポンサー賞
1997年 第27回現代日本美術展美術館賞
1998年 博士(美術)
2004年 第17回富嶽ビエンナーレ展佳作賞
2005年 本間美術館個展

大賞

FUNNYPLANT-ソノママデイイ (木版・メジュウムはがし刷り 90cm × 90cm)

三瓶 光夫

受賞者のコメント

メジュウムのはがし刷り技法とは、簡単にお話ししますと例えば、洗顔パックをご存知でしょうか?。
顔に洗浄液なるものを塗り、硬化後、それを捲ると毛穴の汚れが付着しているというものです。
この原理を基に考えれば、どのような形状でも刷り取ることが可能になり、今回のような版を刷ることが出来たのです。
今回の展覧会を通して、この技法を沢山の方々に興味を持っていただければと思います。

■略歴・所属
1974年 福島県須賀川市生まれ
1999年 多摩美術大学絵画学科版画専攻卒業
現在  日本版画協会(準会員)、大学版画学会会員

■画歴(主な出品歴及び受賞歴)
2004年 第12回プリンツ21グランプリ展2004(グランプリ)
2005年 東京国際ミニプリント・トリエンナーレ2005(準大賞)
2006年 THE INTERNATIONAL SMALL ENGRAVINGSALON 2006
      ROMANIA(SECONDPRIZE)
2007年 第13回鹿沼市立川上澄生美術館木版画大賞(準大賞)
2008年 7TH LESSEDRA WORLD ARTPRINT ANNUAL-MINI
      PRINT 2008 BULGARIA(SECONDPRIZE)

2つの遺伝子“by two genes” (凸版拓刷り・カラーコピープリント 24cm × 37cm)

山下 武美

受賞者のコメント

地面を刷り取ることから始まった一連の拓刷りの作品は、レンガ、衣類、植物といった身の回りのモノから、現在にいたる本のイメージへと展開してきました。この本のイメージはしばらく定着しており、日記や辞典、聖書といった様々な本の形態のイメージから、さらに本の内容であるページイメージへと主題が移ってきたようです。そして、これからの展開のイメージが見え始めてきたところ、受賞のお知らせをいただきました。
このような評価をしていただきました審査員の皆様に感謝申し上げると共に、今後の制作の励みとさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

■略歴・所属
1951年 鳥取市生まれ
1972年 創形美術学校版画科卒業
1974年 創形美術学校版画研究科終了現在日本版画協会会員

■画歴(主な出品歴及び受賞歴)
1974年 日本版画協会展優作賞受賞
1993年 軽井沢ドゥローイングビエンナーレ展リビングアートコンペティション展1994年 日本ビジュアルアーツ展
1996年 多摩大賞多摩うるおい美術展
1999、2002、2005年 山本鼎版画大賞展

サクラクレパス賞

たずねて (銅版 48.5cm × 74cm)

岡田 まりゑ

受賞者のコメント

この度は、サクラクレパス賞を頂き、ありがとうございました。
たいへん嬉しく、励みになりました。
作品は、
心にあるカタチをテーマに制作しています。
それは、ある日の場面であったり、好きなモノであったり、
キモチのカタチであったりします。
そのカタチの持つ温度やエネルギーが、作品を観て下さる方々に伝わって、その人なりの意味のあるカタチに見えて来るとよいな……と思っています。
今後も、人々の繋がってゆける作品になるよう精進してゆきたいと思います。

■略歴・所属
横浜に生まれる
武蔵野美術大学卒業
現在 日本芸術家連盟会員
日本版画協会会員

■画歴(主な出品歴及び受賞歴)
1991年 日本具象版画展 優秀賞受賞
1995年 第63回日本版画協会展 準会員賞受賞
1996年 第6回ミヤコ版画賞展 大阪画商相互会賞受賞
      第2回国際ミニプリントビエンナーレ受賞(リトアニア)
1997年 クラコウ版画トリエンナーレ
      第1回ミニプリントビエンナーレ 名誉賞受賞(ルーマニア)
1998/2001年 第11回/12回 タリン版画トリエンナーレ
2001年 現代日本版画展(ティコティン美術館/イスラエル)
2005年 第6回高知国際版画トリエンナーレ
      第3回山本鼎版画大賞展

優秀賞

Ameagari (銅版 55cm × 90cm)

野嶋 革

受賞者のコメント

 膨大な情報と視覚に溢れた今日において、自然美に対する視覚の喜びはどのように表現できるのでしょうか。人間が自然を見つめ、眺め、感じ、描くといった絵画の本来持つ意味を問いかけ、風景画の新しい解釈を見出すことが現代絵画における命題のひとつであると感じています。
最後になりましたが、この度はこのような賞をいただき、審査員の方々、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。

■略歴・所属
1982年 滋賀県生まれ
2006年 京都市立芸術大学美術科版画専攻卒業
2008年 同大学院美術研究科絵画専攻修了
現在   京都精華大学ビジュアルデザイン科嘱託助手

■画歴(主な出品歴及び受賞歴)
2007年 「全国大学版画展」買上賞
2008年 「京展」版画部門京展賞

IMAGE-9 (木版 76cm × 76cm)

MD.ANISUZZAMAN

受賞者のコメント

The theme of my work is 'Complexity' which has a manifold meaning covering economic, political and social problems. But, I gave emphasis to socio-economic problems highlighting the issue of environmental disaster. The urge to build high-rise structures of concrete and iron in haphazard manner destroying the urban scenario, creating pollution and traffic jam directly or indirectly creates a negative impression on the mind. As an artist I could only envisage the disharmony and this is reflected in my previous works with uneven broken lines and shapes.
After coming to Japan my vision changed. The harmony and tranquility which I observed changed my outlook.
Everything seems to be organised and environment friendly. The lines in my work curved and the compositions more organised like a harmonious design. Previously I used oil media and now I am using watercolor to get the softness as well as tenderness. My study at Tama Art University has greatly changed my ideas, style and media.
I am striving for minimalism and I am confident that I would be able to see a new world of simple peace and harmony from the chaotic present.

■略歴・所属
1993年 B.F.A IN PRINTMAKING, DHAKA UNIVERSITY BANGLADESH
1999年 M.F.A IN PRINTMAKING, RABINDRA BHARTTI UNIVERSITY INDIA
2004年 RESIDENCY AT GLASGOWPRINT STUDIO AND LONDON
      PRINT SUTDIO UK
2008年 M.F.A IN PRINTMAKING, TAMA ART UNIVERSITY JAPAN
      Assistant Professor, Department of Printmaking, Faculty of
      Fine Art, University of Dhaka.

■画歴(主な出品歴及び受賞歴)
2002-03年 COMMO NWEALTH ARTS AND CRAFS AWARDS UK
2004・2005・2007年 ELIZABETHT GREENSHIELDS FOUNDTATION GRANT OF AWARD QUEBEC, CANADA
2008年 AWARD IN PRINTMARKING, 85 SHUNYOKAI ART EXIBITION, TOKYO

黄昏 (銅版 77cm × 60.5cm)

野瀬 昌樹

受賞者のコメント

 人間同士の繋がりが希薄になったといわれる現代において、アートは言葉の壁を越えたコミュニケーション手段であると信じ、人をテーマとして制作しています。旅先で出会った年齢や立場を越えた付き合いのある人々、お互い理解しあえる友人、先輩や先生方など、尊敬、信頼できる方々にそのような私は支えられていることをとても強く感じています。そして、それもテーマと同様制作の動機となっています。
この度は、このような賞を頂き皆様にとても感謝しています。ありがとうございました。

■略歴・所属
1985年 埼玉県生まれ
2008年 東北芸術工科大学芸術学部美術科洋画コース版画専攻3年在籍

■画歴(主な出品歴及び受賞歴)
2007年 ディスカバリー2007(青樺画廊 京橋)
2008年 第7回高知国際版画トリエンナーレ展
      第76回日本版画協会展 B部門賞候補
      個展(サロンマイマイ山形)

Decora (木版・凹版メディウムはがし刷り 91cm × 72.7cm)

南舘 麻美子

受賞者のコメント

祖父の実家が長野にある。それは上田の近くで、祖父も若き頃は上田で過ごした筈だ。私も、上田へは一度、小諸へは何度か行ったことがある。
母に受賞を話したところ、先日山本鼎記念館には行ったばかりだという。何だか、少し不思議だった。このような地で、このような賞を頂けるとは、審査員の先生方はじめ、関係者の皆様に感謝申し上げたい。
受賞作品は、装飾性に対する憧憬の根源を表そうと制作した。また、過度にすべてをそぎ落とした物に対する問いかけでもあった。
人間の想像力に敬意を示したい。

■略歴・所属
1998年 多摩美術大学大学院美術研究科版画科修了
現在  日本版画協会準会員/美術家連盟会員

■画歴(主な出品歴及び受賞歴)
1998年 第1回大野城まどかぴあ版画展/池田満寿夫大賞受賞
2002年 第10回プリンツ21グランプリ展/版画特別賞受賞
2004年 第1回東京コンペ/佳作
2006年 第14回プリンツ21グランプリ展/小作品部門グランプリ受賞
2007年 第75回記念日本版画協会展/立山賞受賞
2008年 第5回池田満寿夫記念芸術賞/大賞受賞

Ambiguous Territory (銅版 65.5cm × 110cm)

丸山 章太

受賞者のコメント

光の反射によって映されて生まれるこちら側とあちら側の世界。
現実と虚構、見えるものと見えないもの、二つの異なるイメージの折重ねを、「図」と「地」の関係に導き出して生まれた曖昧な空間。その空間の関係性を日常風景として描くことによって、自身の生に根差した、リアリティを感じる風景を表現できればと思っています。
この度は、このような賞を頂き、審査員の方々、関係者の皆様に心より感謝を申し上げます。
今回の受賞を励みにしてこれからも制作を続けていきたいと思っています。

■略歴・所属
1986年2月 東京都生まれ
2008年3月 創形美術学校ファインアート科版画専攻卒業
2008年4月〜同校研究科版画専攻在学中(2009年3月まで)

■画歴(主な出品歴及び受賞歴)
2007年 第32回全国大学版画展出品(町田国際版画美術館)
2008年 第76回版画展入選(東京都美術館)

上田市長賞

along these lines (銅版 81cm × 60.5cm)

上原 修一

受賞者のコメント

ありがとうございます。
嬉しいです。
長野県に生まれ育った者として、賞を誇りに思います。
「カタマリ」を描きたいと考えました。象よりも大きくて蟻よりも小さな塊です。
そして、そこに私だけの線が躍る。
作品が何か(まだ私の見たことのない何か)に触れていたらいいなあ、といつも思いながら銅版画を制作しています。

■略歴・所属
1963年7月 長野県須坂市生まれ

■画歴(主な出品歴及び受賞歴)
1998年 4月 「第4回さっぽろ国際現代版画ビエンナーレ展」北海道立近代美術館
2000年 3月 「第5回さっぽろ国際現代版画ビエンナーレ展」北海道立近代美術館
2004年 9月 「あおもり版画トリエンナーレ2004」青森市民美術館
2005年10月 「第3回山本鼎版画大賞展」上田創造館
2007年 4月 「Prints Tokyo 2007」東京都美術館
     11月 「あおもり版画トリエンナーレ2007」国際芸術センター青森