信濃国分寺の八日堂縁日は、ご存知の方が多いことでしょう。大勢の人々がこの日の来るのを待って、1月7日の宵から8日に参詣に出向きます。この絵は8日の朝を描写したものですが、昔からたいへん賑わっていた様子が詳しくわかります。境内や沿道ではいろいろなものが売られており、縁日の様子が細かく写実的に描かれています。
この八日堂縁日は市場の役割も果たし、農業に必要な種子や農具、日常生活の必需品が商われて、物資購入の機会にされていたことの意味は実に大きいものがあります。一年の生活が始まる時期に、この市を通して年始の心構えを新たに、一家安泰・農産物の豊穣などを願う庶民の思い入れが伝わってきます。
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