国重要文化財
この文書は、
戦国時代の天文二十二年(一五五三)信玄が
このあと信玄と謙信の戦いは、川中島平で何回もくりかえされましたが、なかなか勝負がつきません。
そこで信玄は謙信に勝って、北信濃を武田氏の勢力下に治めるためには、どうしても謙信と決戦をしなくてはならないと覚悟を決めて、世に名高い川中島大合戦の二年前にあたる、永禄二年(一五五九)九月一日、下諏訪大明神に、「長尾景虎(謙信)との戦いに勝たせてください。」と、願文をささげたわけです。
この願文は信玄自筆のものといわれていますが、漢字ばかりの難しい文で書かれているので、わかりやすい言葉に書きなおしてみると、およそ次のようなことが記されています。
「
信玄がこの願文を下郷諏訪大明神にささげたあと、激しい川中島大決戦の行われたのは、永禄四年(一五六一)九月十日のことでした。謙信を打ち負かそうと、信玄が並々ならぬ決意で、戦に立ち向かおうとした気持ちを願文から読み取ることができます。
願文は
願文の終わりに「武田徳栄軒信玄」と氏名を書き、その下に
敬白願書
言帰命頂礼下郷諏方法性大明
神曰徳栄軒信玄相待越軍出張
可令防戦哉否吉凶預卜問四聖人
其辞曰九二之孚有喜也経薦約為神所享斯之為
喜云々希随天鑑与越軍戦則如
信玄存分得勝利加之長尾景虎忽
追北消亡者併仰下郷両社之
保祐者也神明無私奏凱歌到帰家
安泰之日従己未歳始之十ヶ季之間毎歳
青銭捨(拾)緡為修補可奉社納者也
仍願状如件
維時永禄二季己未
秋 九月一日 武田徳栄軒信玄(花押)
その辞に曰く・九二の
併せて下郷両社の
神明私なし。
謹んで下之郷諏訪大明神(生島足島神社)に申し上げます。
私は越後の軍勢(長尾景虎)が攻めて来るので、戦うべきかどうか
なにとぞ我が方に存分の勝利を与えられ長尾景虎を北へ追いはらい滅ばすことが出来るようにお助けください。もし私が凱歌を挙げて帰国しましたら、今年(永禄二年)より十か年間毎年青銭十緡(一緡は穴明き銭を紐に通したもの即ち百文の事)ずつ社殿補修のために奉納いたします。
この願文は信玄自筆にものと言われている。永禄四年(一五六一)九月十日、上杉謙信とかの有名な「川中島一大合戦」はこの二年後であり、あらかじめ生島足島神社に祈りを捧げた信玄のなみなみならぬ決意が読み取れる。
起請文一覧 | |
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番号 | 起請文提出者 |
01 | 武藤神右衛門尉常昭 |
02 | 長坂源五郎昌国 |
03 | 三枝宗四郎昌貞 |
04 | 小山田兵衛尉信茂 |
05 | 安中左近大夫景繁 |
06 | 仁科盛政 |
07 | 今福市左衛門尉昌和 |
08 | 浅利右馬助信種 |
09 | 室賀山城守信俊 |
10 | 小泉喜泉斎重永・小泉内匠助宗貞 |
11 | 望月遠江守信雅 |
12 | 板垣左京亮信安 |
13 | 六郎次郎信豊 |
14 | 小笠原下総守信貴 |
15 | 吉田左近助信生 |
16 | 刑部少輔信廉 |
17 | 海野三河守幸貞 |
18 | 小幡三河守信尚 |
19 | 横田拾郎兵衛丞康景 |
20 | 小幡右衛門尉信実 |
21 | 小幡左衛門大夫兼行 |
22 | 浦野左衛門尉幸次 |
23 | 跡部雅楽助昌長 |
24 | 原甚四郎昌胤 |
25 | 両角助五郎昌守 |
26 | 大嶋五郎左衛門尉長利 |
27 | 後閑伊勢守信純 |
28 | 一宮兵部助氏忠 |
29 | 座光寺三郎左衛門尉貞房 |
30 | 野村主水佑勝英 |
31 | 大井式部大輔信舜 |
32 | 大井右京亮信通 |
33 | 大井源八郎昌業 |
34 | 高田大和守繁頼 |
35 | 松鷂軒常安 |
36 | 高山山城守行重 |
37 | 麻績勘解由左衛門清長 |
38 | 和田兵衛大夫業繁 |
39 | 高山彦兵衛尉定重 |
40 | 片切源七郎昌為 |
41 | 梅隠斎等長 |
42 | 大熊新左衛門尉長秀 |
43 | 依田又左衛門尉信盛 |
44 | 大井小兵衛満安 |
45 | 小林与右兵衛幡繁 |
46 | 上穂善次為光 |
47 | 飯嶋大和守為方 |
48 | 海野伊勢守幸忠 同 平八郎信盛 |
49 | 室賀治部少輔経秀 同 常陸守正吉 同 甚七郎吉久 堀田豊後守之吉 |
50 | 熊井土対馬守重満 弾正左衛門尉信高 佐馬助高政 自徳斎道佐 能登守行実 |
51 | 松本丹後守吉久 同 縫殿助定吉 友松将監行実 |
52 | 高山八郎三郎泰重 馬庭中務少輔家重 酒井中務少輔高重 |
53 | 依田兵部助隆総 桃井蔵人佐頼光 塚越新助重定 |
54 | 甘利郷左衛門尉信康 城和泉守景茂 今井九兵衛昌茂 玉虫助大夫定茂 六嶋六右衛門尉守勝 |
55 | 猿渡宇左衛門尉満繁 和田佐渡守業政 富所彦次郎業久 |
56 | 簗賀縫殿助吉久 荻原民部定久 同 図書助長久 同 玄蕃允重吉 野口佐渡守成吉 戸塚大蔵重吉 |
57 | 小林五郎左衛門尉盛重 大井甘助高幸 小林図書守業吉 上田七郎兵衛常善 小林新助秀永 小海宮 |
58 | 馬場小太郎信盈 青木右兵衛尉信秀 山寺源三昌吉 宮脇清三種友 横手監物満俊 青木兵部少輔重 |
59 | 依田長門守頼房 楽厳寺雅方 依田 篠沢新九郎雅 布下仁兵衛雅朝 諸沢堪介信隆 |
60 | 羽中田民部右衛門虎具 鮎沢八郎右衛門尉虎守 鮎川清三郎昌尚 |
61 | 安中五郎兵衛家繁 同名刑部助繁勝 |
62 | 松本総右衛門尉重友 同 膳右衛門尉行定 須藤縫助殿久守 |
63 | 市川兵庫助景吉 小沢源十郎行重 市川四郎衛門重久 同 四郎兵衛貞吉 縣河彦八郎直重 高橋左 |
64 | 小河原右馬助重清 神保小次郎昌光 |
65 | 黒沢駿河守重慶 同 出羽守定吉 同 掃部助光吉 同 兵衛尉重家 土屋上総守重綱 |
66 | 桑原式部少輔康盛 塔原藤左衛門宗 城内二助貞維 山崎善七郎 同名藤五郎貞吉 |
67 | 山口大炊助高清 新五郎高貞 高瀬与兵衛能業 上条権助高業 武河左近助実吉 同 又右衛門尉高 |
68 | 諏方右近助豊保 諏方左衛門尉頼運 大輪監物勝親 高出左兵衛昌海 知久次郎左衛門遠包 飯嶋出 |
69 | 麻績市尉光貞 関岡宮内右衛門光助 関又助光吉 |
70 | 岩下駿河守幸実 同名新十郎長高 同名源介幸広 塔原織部幸知 大口右馬介 辰 小 助忠助 |
71 | 小笠原新八郎長記 同名 孫十郎長和 同名 甚十郎長穂 下枝田右衛門尉久綱 常葉平左衛門尉定満 |
72 | 海野左馬亮幸光 常田七左衛門尉綱富 尾山右衛門尉守重 桜井駿河守棟昌 小艸野若狭守隆吉 下 |
73 | 浦野宗波軒信慶 同弥三左衛門尉政吉 同新左衛門尉貞次 同右衛門幸守 同久右衛門尉吉忠 浦野 |
74 | 半右衛門尉 平介 惣二郎 四郎右衛もん 弥六郎 藤右衛門尉 忠介 藤三 |
75 | 堀金平大夫盛広 古厩平三盛隆 渋田見源介政長 沢渡兵部助盛則 日岐盛次 穂高左京亮盛棟 |
76 | 小幡彦太郎具隆 |
77 | 伴野左衛門佐信是 |
78 | 麻績勘解由左衛門清長 |
79 | 大日向上総介直武 |
80 | 赤須二郎三郎頼泰 |
81 | 伴野三衛門尉 飯嶋与兵衛尉為政 片切二兵衛尉為房 |
82 | 野沢四郎兵衛康光 伴野善七郎君家 同名東青軒如心 下村新右衛門尉重守 同名与左衛門尉満幸 |
83 | 牛田善右衛門尉真綱 奥秋加賀守房吉 小林和泉守房実 河村治部左衛門尉房秀 |
その他の古文書一覧 | |
84 | 武田信玄安堵状 |
85 | 丸子良存寄進状 |
86 | 武田信玄願文 |
87 | 壱岐・三かわ連署願文 |
88 | 真田昌幸朱印状 |
89 | 平盛幸願文 |
90 | 工藤美作守等連署定書案 |
91 | 小幡信繁願文 |
92 | 真田信幸寄進状 |
93 | 真田信幸朱印状 |
94 | 下之郷供僧社人目安案 |
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