万延元年(1860年)1月、勝海舟率いる咸臨丸は遣米使節の随行艦として、日本の船舶としては初めて太平洋を横断しました。
清次郎(赤松小三郎)は咸臨丸に乗船することができず、同年3月に養父の赤松弘が亡くなり、赤松家の跡を継ぐための上田へ帰郷しました。
赤松家の家督を継いだ清次郎の俸禄は十石三人扶持でした。その頃の清次郎の仕事は「数学測量世話」「西洋流調練稽古世話」「大小銃並びに器械製造」の掛(かか)り等で、今までの勉学の成果を生かせる仕事でした。清次郎は真面目に仕事を勤め、身分は武士として最も下の「組付御徒士格」から始まりましたが、文久元年(1861年)には「組外御徒士格」に、文久二年には「詰並(つめなみ)」へと順調に昇格しました。
上田藩士の格禄賞罰の記録「明細」の中で赤松小三郎の部分のみを抜粋しました。
養子実は芦田勘兵衛次男 赤松清次郎 後小三郎
安政二卯九月召出され弐人扶持下さる。組付御徒士仰せ付けらる。万延元申六月養父跡式十石三人扶持下さる。同年十一月西洋流炮術心懸け宜しきに付き御酒吸物下さる。万延二酉正月組外成し下され、数学測量世話仰せ付けらる。同年十月小三郎と改名。文久二戌正月詰並成し下さる。同年七月調練取調べ御用掛り仰せ付けらる。文久二戌八月近々西洋流調練稽古仰せ出だされ候間、世話いたし候様仰せ付けらる。同年十二月芸術稽古骨折り世話いたし候に付き、御意の上御酒吸物下し置かる。文久三亥正月大小銃并びに器械製造懸り仰せ付けられ候。文久三亥十二月西洋銃隊稽古骨折り候に付き、御意の上金百疋下し置かる。文久四子正月壱石御加増下し置かる。元治元子九月今般御出陣に付き御供仰せ付けらる。元治元子十二月調練世話并びに大小銃器械取調べ骨折り候に付き、御意の上金弐百疋下し置かる。慶応三丁卯九月三日京地に於て変死致し候に付き、御大法の通り家断絶仰せ付けられ候間、家族早々引払ひ候様取り計らふ。
万延2年10月に、清次郎から小三郎へと改名し、ここに赤松小三郎が誕生しました。
文久3年(1862)国と上田藩の現状を見るに耐えられず、上田藩に藩政改革の意見書を提出しました。
文久3年(1863)の春、赤松小三郎が数え年33歳の時に、松代藩士 白川久左衛門近克の娘「たか」と結婚しました。
安政元年(1854)から蟄居の身となっていた佐久間象山(修理)の刑が解かれた文久3年に、小三郎は松代藩士白川氏から妻を迎えたことで象山と出会う機会が生まれました。
文久3年4月小三郎は、松代の象山の家を訪れました。
小三郎と象山が会ったのはこの1回だけといわれおり、その後は手紙のやり取りや、書物の貸し借りがつづきました。
この時、象山は53歳、小三郎は33歳、20歳の年の差がありました。
その後、象山は元治元年(1864)京都で暗殺されてしまいます。赤松小三郎と佐久間象山の交流は、わずか一年余りのことでした。
お手紙を拝見しました。蒸し暑いこの頃です。
益々お元気で何よりです。
さて、この間加藤氏が訪ねて来て
馬術の本を三冊教えて頂きありがたかったです。
過日、貸して下さった二冊の本は加藤氏へ
頼みお返しします。お調べ下さい。さて、
お出かけ下った時、お目にかけた馬の本を
貸してほしいとの事、お易い事です。
これも加藤氏へ渡します。この
頃馬の事を調べかけている友人もいますので急いで
お読みになり返えして下さるようお願いします。
今日も親友にひどい病気の者があり
そのことに取りかかり思いのほか
忙しく今ごろになりました。オランダ語の
お返事を書くよう申されますが私は
もともとオランダ語を学んでいないので
普通の日本語で書きます。 不十分ですが失礼。
六月四日
上田
赤松小三郎様
佐久間修理
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