事業所にまつられた蘇民将来符
竹内家は、印刷業を営み二代目になる。大切な事業所の神棚には毎年買い求めた33体の蘇民将来符が置かれている。7年前に現在の場所に事業所を移した。一般に引越しなどの時は古い護符を焚いてしまうという例も多いのであるが、竹内家では今まで集めた護符を全部移した。八日堂の講仲間でもあるので、毎年縁日には本堂で護摩*1をたいてもらい1年間の無病息災を祈願している。その折に昨年より大きい蘇民将来符を求めるということである。竹内家は、神事、仏事にかかわる行事を大切にする信心深い、そして、思いやりのある家庭である。公的行事への献身的な参加、協力の面から、人との対応の面から、それをうかがうことができる。毎朝、作業を始める前、神棚に向かって、家内安全、商売繁昌、交通安全を祈願。すると「蘇民将来符が、うなずいてくれるので気持よく一日仕事ができる」と心から語ってくれた。語る言葉の端々に蘇民将来符と喜怒哀楽を共にしているという、確かな雰囲気が見受けられた。よりよい生活への願いは真剣である。真剣な願いが朝の祈りとなるのである。真〔まこと〕の祈りは、竹内家らしい生き方を生み出す原動力となっている。
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*1護摩(ごま)密教で、不動明王・愛染明王などを本尊とし、その前に作った護摩壇で護摩木を焚いて仏に祈る行法。木は人の悩みや災難を、火は智慧や真理を表す。息災・増益・降伏(ごうぶく)などを祈願する。 |
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