仙石氏在城時代の上田城下町図
元禄15年(1702)
この絵図は天保15年(1844)の写しであるが、原本とした絵図の所在は不明である。写しを作成したときの添え書きに、原本はいつ作られたのかは分からないとあるが、『信州上田城絵図』と比較すると、同じように三の丸の現在の清明小学校の場所にあった施設を、「中屋敷」と記載している(中屋敷は仙石氏の藩政期の終わりに作事場に変わる)ことから、表題のとおり、仙石氏の時代の上田城と城下町を表したものとみてよかろう。
本丸には櫓が7棟と東西虎口にそれぞれ櫓門が描かれている。この絵図の特徴のひとつとして、鬼門除けとして建てられた東北隅の櫓2棟のうち、1棟の描き方が他の櫓と違っていることが挙げられよう。この1棟のみ、櫓の基礎にあたる部分に、縦長の板を貼り付けたような表現があるのだ。このサイトで紹介している他の絵図も含め、このように櫓の表現が1棟のみ異なるという資料は知られていない。絵図に描かれている櫓は、漆喰塗りの白壁で表現されているが、現存する西櫓は下見板張りが施されている。この板を貼り付けたような表現は、「下見板張り」を描いているのかもしれないが、7棟全てではなく1棟のみであることは謎である。
また、城構えの西側に配された「小泉曲輪」の範囲も、捨堀から南側に伸びる谷を西限としている資料が多い中で、谷を挟んだ西側にも「小泉曲輪」の記載が見られ、興味深い。
尼ヶ淵を流れていた千曲川の分流「内川」も、櫓下の当時の状況をリアルに示す資料と考えられ、面白い。
名 称 | 仙石氏在城時代の上田城下町図 | |
---|---|---|
所蔵者 | 上田市立博物館 | |
製作年 | 元禄15年(1702) | |
写年等 | 天保15年(1844) | |
城 主 | 仙石政明 | |
本丸櫓 | 棟数 | 7棟 |
形式 | 層塔型 | |
構造 | 二重 | |
壁面 | 一重目に下見板張りの表現あり(東北隅の1棟のみ) | |
他 | 突上戸の表現あり | |
土 塀 | 構造 | 瓦葺、白漆喰塗籠 |
挟間 | あり |
上田市立博物館所蔵
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