上田城下町絵図
享保末頃
原図や模写についての記録はみられない。享保年間に作成されたとされているので、上田藩主は松平氏である。
城郭部分は本丸周囲の櫓や土塀が丁寧に描かれている。侍町分は屋敷割も示されていて、その大半は居住している藩士の氏名が記入されている。柳町西側の大きな屋敷にみられる「太四郎様」は、藩主松平忠周(ただちか)の分家で、兄忠昭(ただあき)の子、すなわち甥である。
屋敷のうち町人分は褐色に塗り潰されていて、屋敷割は認められない。この図は、藩士の居住場所を確認するために作られている。ただし、割家や長屋住いの下級武士は省略されている。東端(右側)大宮明神前と北側(上部)八幡宮下に、後筆の屋敷地記入がみられる。これは後に設置された、上田城下東西入口手前の番所である。西の大工町は侍町の一つであるが、その内数軒分が褐色になっていて町人の持分とされている。これは前藩主仙石氏の家臣の一部が町人に売却したためである。
上田市立図書館蔵
解説:尾崎行也先生
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